認知症は脳の病気が原因で起こるが、最も多いのがアルツハイマー型認知症である。記憶を司る脳の「海馬」という部分がまず萎縮し始め、病期の進行に伴って脳全体が萎縮していく。萎縮を引き起こすのは「アミロイドβ」というタンパク質が脳に蓄積するためである。アルツハイマー型認知症の発症しやすい年齢は70歳代であるが、中には50歳代前後から発症するケースもある。その次に多いのが、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患が原因となる脳血管性認知症である。脳血管が詰まったり破れたりすることで、その先にある神経細胞が血流不足に陥り、ダメージを受けることが原因である。
最近診断されるケースが増えているのがレビー小体型認知症である。脳にレビー小体というこの病気特有の蓄積物が出現し、これによって神経細胞が死滅することで発症する。
50歳代の比較的若い世代に多いのが前頭側頭型認知症である。言語と理性をつかさどる前頭葉と、言葉の意味理解を司る側頭葉の萎縮から始まり、性格の変化など特徴的な症状が見られる。
生活習慣病は認知症のリスク
認知症は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があるとリスクが高まる。アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβ蛋白は、生活習慣病があると増加しやすく、中でも糖尿病のある人はアルツハイマー型認知症のリスクが二倍になると言われている。
認知症で最初に現れる症状は、記憶力の低下や日時、場所、人の名前などを正しく把握する認知機能の障害である。家族や周囲の人から見てなにかおかしいと感じたら、すぐに専門医を受診すること。
認知症の初期症状に関する11の質問
| 群馬大学大学院保健学研究科 山口晴保研究室ホームページ |
記入:
介護者などが、対象者の最近1か月の状態について、日々の生活の様子から判断して、あてはまるものに○を付ける(ただし、原因が痛みなど身体にあるものは除く)。
記入は、同居の方など、対象者の生活状況を良く知っている方が行う。認知症を発症すると、病識が低下するので、本人が記入したものでは認知症スクリーニングの評価ができないため。
”ある”、もしくは”ない”、のいずれかで記入し、”ある”の合計数を点数とします。どちらともいえない場合は、不明ではなく、なるべく“ある”か“ない”で記入。
判断基準:
医療機関では、3 点以上で認知症を強く疑う。地域での認知症スクリーニングでは 4 点以上で受診を勧める。点数が高いから直ちに認知症ということではない。なお、被害妄想などの妄想や、幻視・幻聴がある場合には、点数にかかわらず、受診・精査が勧められる。
認知症の予防法
認知症の予防法として現在注目されているのが、脳を使いながら運動をする方法である。これを「デュアルタスク・トレーニング」という。計算やしりとりなどをして頭を使いながら、同時にウォーキングなどの有酸素性運動を行うと脳の血流が増加して脳が活性化されて、記憶力や判断力などの認知機能の低下を抑えられる効果があることが明らかになっている。