腰痛は発症してから1ヶ月以内に改善することが多いのだが、それ以上長引く人も少なくない。このように3ヶ月以上痛みが持続するものを「慢性腰痛」という。慢性腰痛の場合は椎間板の障害や神経の圧迫が原因のものもあるが、ストレスやうつ、不安が深く関わっているものもあるのではないかと考えられている。
ストレスが腰痛を悪化させる仕組み
ストレスが慢性腰痛を悪化させるのは、脳に痛みが伝わる仕組みと関係している。ストレスを感じるのもまた脳だからである。人の体は痛みが起こるとその信号が脳に伝わって、脳の中心部からドパミンという神経伝達物質が放出される。その刺激によって脳内麻薬のμオピオイドという物質が大量に放出されて痛みの信号が脳に伝わらないように働くのである。この仕組を「下行性疼痛抑制系」という。
いっぽう、脳がストレスに長くさらされると、痛みの信号が脳に届いてもドパミンの放出が抑えられてしまう。そのため、μオピオイドによる痛みの抑制効果が機能しなくなって、僅かな腰の痛みでも強く感じたり、痛みが長引くようになると考えられている。
運動の痛み軽減効果
運動によって血液の循環が良くなると、脳内の血流も良くなる。そして、運動を楽しむことによって脳内でドパミンの放出が促されるようになる。これによって下行性疼痛抑制の仕組みが改善されて、痛みが抑えられるようになる。ポイントは、自分が楽しいと感じながら運動することである。脳が嬉しい、楽しいと感じると、大量のドパミンが放出されるからである。
認知行動療法で腰痛解消
認知行動療法で考え方や行動を変えることも痛みの軽減につながる。例えば、「腰が痛くて何もできない」ではなく、「痛みがあってもこれならできる」など、前向きに考える習慣をつけるのである。それによってできることが増えてくると、腰痛の捉え方が変わってくる。また、自分が楽しいと感じることをするとストレスが解消される。その結果、下行性疼痛抑制系が活発に機能するようになり、痛みを感じにくくなる。