ガンの診断と治療法は着実に進歩しており、早期発見・早期治療が可能になっている。以前と比較して根治を目指せるケースも増えている。ただ、そのためには何より早期にガンを見つけることがポイントである。
日本では、自治体が中心となって対策型がん検診が行われている。日本人に多い胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがんについて定期的に検診を受けられるシステムになっている。早期発見から早期治療につなげるように、この制度を活用することが大切である。
がん検診でスクリーニング
何も症状がないのにがん検診を受ける必要があるのかと疑問に思う人も多いと思われるが、自治体のがん検診はこうした無症状の人を対象にしているのが特徴である。検診によってガンの疑いがあるかどうか大きくスクリーニング(ふるい分け)して、精密検査が必要な人を見つけるのが目的である。
がんの精密検査
胃がんはピロリ菌感染と萎縮性胃炎があれば高リスク
胃がん患者のほとんどがピロリ菌に感染している。そのため、胃がんの早期発見にはピロリ菌に感染しているか、萎縮性胃炎になっていないかどうかを調べた後、陽性なら定期的に胃の内視鏡検査を受けると効果的である。
大腸がんは女性に多い
大腸がんは男女ともに死亡率の高いがんであるが、2014年のがんの部位別死亡者数では男性が3位、女性は1位となっており、女性は最も注意が必要である。がん検診の便潜血検査で要精密検査となった場合は、大腸の内視鏡検査を受ける。病変が見つかったときには採取して調べるほか、ポリープや早期がんではその場で切除することもある。良性の段階で切除できると、がんの発生を抑えることができる。
喫煙歴の長い人ほど肺ガン検査をうけるべき
肺がんには加齢や遺伝的な要因、環境的な要因が関係している。最も強く関係しているのは喫煙である。「1日喫煙本数×喫煙年数」で算出した喫煙指数が400以上になるとハイリスクグループに分離され非喫煙者に比べて5倍程度肺がんになりやすいと言われている。
肺がんの早期発見では胸部X線検査と、重度喫煙者に対しては喀痰細胞診を併用する。
乳がんは女性ホルモンが関係している
乳がんの約6割が女性ホルモンのエストロゲンによる影響でがん細胞が増えるタイプであるため「初潮が11歳以下」「閉経が55歳以上」「初参が30歳以上、あるいは出産経験がない」といった項目に当てはまる人は乳癌のリスクが高い。家族親戚に乳がんや卵巣がんになったことがある人がいる場合は、人間ドックなどを活用して早期発見に務めたほうがよい。
子宮頸がんはHPV感染でおこる
がん検診のリスク
がん検診の目的は、早期発見・早期治療であるが、検査の精度は100%ではなく、また多少のリスクを伴う。例えば、「偽陰性」によりがんを見逃していしまうこともある。一方で「偽陽性」によってがんと判定されて精密検査をしても、結局がんは見つからず負担だけがかかることがある。なかには過剰診断によって生命危機がないような良性の腫瘍まで治療することになる場合もある。
| 健診の種類 | 検査 | 対象年齢と検診の間隔 |
|---|---|---|
| 胃がん検診 | 胃部X線検査または胃内視鏡検査 | 50歳以上・2年に1回 胃X線は40歳以上は毎年も可 |
| 大腸がん検診 | 便潜血検査 | 40歳以上・毎年 |
| 肺がん検診 | 胸部X線検査、必要に応じて喀痰細胞診を併用 | 40歳以上・毎年 |
| 乳がん検診 | マンモグラフィ検査 | 40歳以上・2年に1回 |
| 子宮頸がん検診 | 細胞診 | 20歳以上・2年に1回 |