日本では高齢化が進み、平均寿命は男女とも80歳をこえている。それに伴い、新たに増えている問題がある。それが、「ロコモティブシンドローム」である。ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害によって移動機能が低下した状態のことをいう。
最初は階段の昇り降りが少し辛いとか、早く歩けなくなったという程度でも、そのまま放っておくとロコモティブシンドロームは確実に進行していく。ロコモは単に足腰が弱るだけでなく、それによって思うように体を動かせなかったり、自立した生活をおくるのが困難になることが問題である。
ロコモティブシンドロームの進行は気づけない
ロコモティブシンドロームは高齢者の問題だと思っている人が多いのだが、女性では40歳代から、男性では50歳代から注意が必要になってくる。実際、変形性関節症などで入院して手術が必要になるような運動器の障害は50歳以降になると増えており、ロコモティブシンドロームは高齢者だけの問題ではないことを示している。
Kadono Y, et al., J Orthop Sci. 2010 Mar;15(2):162-70.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20358327
特に、若い頃から運動をする習慣がない人は、自分で思っている以上に足腰が衰えていることが少なくない。大丈夫だろうと油断していると、気づいたときにはロコモティブシンドロームがかなり進んでいることが多いのである。
ロコモティブシンドロームは介護に直結する
日本人の平均寿命は80歳を超えているが、こうした長寿の人たちがすべて自立した生活ができているのかというとそうではない。自立して生活できる期間を「健康寿命」というが、日本人は平均寿命に比べこの健康寿命が約10年も短いと言われている。つまり、10年間は何らかの支援や介護が必要な状態にあるということである。その原因を調べてみると、ロコモティブシンドロームが深く関わっていることがわかってきました。2013年の国民生活基礎調査によると、要支援や要介護になった原因の第4位は骨折転倒で、5位が関節疾患となっている。このように骨や関節の怪我、病気が引き金となってロコモティブシンドロームの状態に陥り、やがて自力では自由に動くことが難しくなっているのである。
2013年国民生活基礎調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h25.pdf
ロコモティブシンドロームとの関係のある骨折・転倒と関節疾患を合わせると、1位の脳血管疾患を上回る。つまり、要支援・要介護の増加を抑えるにはロコモティブシンドローム対策が必要といえる。