医学的には、出産に適した年齢は20歳代前半から35歳で、それ以降は「高齢出産」と呼ばれている。近年、日本では晩婚化に伴い、第一子の出産年齢が高くなる晩産化が進み、高齢出産も増加している。母親の第一子出生時の平均年齢をみてみると、1975年では25.7歳であるのに対し、2015年になると30.7歳と5歳も高くなっていることがわかる。
さらに、20歳代の出生数が減少している一方、30~34歳の出生数は緩やかに上昇し、35歳~39歳の出生数も増えている。第一子出生数全体に占める割合でも、35~39歳の出生数は1980年には全体のわずか1.9%だったが、2012年には15.9%に上昇しており、確実に高齢出産が増加している。
| 第1子出生時の母の平均年齢の年次推移 |
30過ぎると妊娠しにくくなる「不妊症」
不妊症とは、妊娠を望む健康な男女が避妊せずに性交しているにも関わらず、一定期間妊娠しないことである。一定期間とは一般的には1年間。加齢に伴い不妊症のリスクは高くなる。原因として、女性は年齢が高くなるほど、卵子の質・両友に低下することや、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系の病気を発症しやすくなることがあげられる。
なお、不妊の原因の約半数は男性が関わっており、女性だけの問題ではに事を理解しておく必要がある。
35歳前後であがる流産率
高齢出産では、流産の確率も高くなっていく。通常の妊娠では流産の発症する確率は10~15%である。しかひ、年とともに妊娠しにくくなると不妊治療を受け、体外受精や顕微授精によって妊娠する人も増えるが、不妊治療をした人の流産率は、35歳以降になると急激に上昇する。
| 「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」ワーキンググループ 報告書 |
35歳以上の妊娠で生まれてくる子にも影響が
35歳以上の人の妊娠・出産では、不妊や流産のリスクが高いだけでなく、他にも様々な問題がある。最近、出産前に胎児の染色体異常などを調べる「出生前診断」が話題になったが、高齢出産では、子供の染色体異常が起こる頻度が高くなることがわかっている。
また、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群といった、合併症を起こす危険も高く、それが母体や胎児に影響をおよぼすこともある。さらに、分娩誘発や陣痛促進が必要なケース、帝王切開も増加する。それに伴い、分娩時の出血量や低出生体重児の増加にもつながっているという報告もある。