うつ病は働き盛りの世代に多い病気でだが、高齢者にも多く見られる。特に60~70代の女性に非常に多いことがわかっている。高齢者にうつ病が多いのは、きっかけとなる出来事が増えるためである。
高齢者にうつ病が起こりやすいということは、一般にはあまり知られていない。そのため「高齢だから元気がなくて当たり前」「歳をとれば憂鬱にもなる」などと考えられてしまい、見逃されやすいのである。高齢者のうつ病を見逃さないためには、その特徴を知っておく必要がある。うつ病を発症した高齢者は、引きこもる傾向が強くなり。家事などをしなくなる。イライラや不安感が目立つようになり、頭痛や腰痛などの痛みや、全身のだるさといった体の不調を訴えるようにもなる。自分を攻める妄想で苦しむ人もいる。
うつ病と認知症のちがい
活気がない、引きこもりがちになる、物事への興味がなくなるといった症状は、アルツハイマー型認知症の初期の症状によく似ている。物忘れも両者に共通する症状だが、その状態にちがいがある。うつ病と認知症は、間違われやすいだけでなく合併していることも少なくない。認知症の場合、10~20%がうつ病を合併しているというデータがある。
また、うつ病でも物忘れなどの認知機能の低下が現れている場合、そのうちの9~25%が、1年程度で認知症を発症するというデータもある。
Wragg RE, et al., Am J Psychiatry. 1989 May;146(5):577-87.
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12111672
物忘れを例に取ると、うつ病の場合は、物忘れをする自分を責めるが、認知症の初期には何か理由をつけて取り繕おうとする。
| 高齢者うつ病と認知症のちがい |
家庭や地域でうつ病予防
高齢者のうつ病を予防したり、症状を軽減したりするには、趣味や家事などの役割を持つことが効果的である。スポーツをしたり、外に出て人間関係を広げるのが良いと言われている。デイケアに行くのも良い。室内で1人で行う趣味でも良いので、自分にあった方法で生活の中に楽しみを見つけたり、人と関わりを持つように心がけよう。
周囲の人は、じっくりと話を聞くことが大切である。高齢者は、辛い時にも、自分から積極的に相談できないことがある。周りの人が話を聞く機会を作り、「助けてもらえて嬉しい」と感じることが、うつ病予防や改善に役立つだろう。