働き盛りのうつ


WHO(世界保健機関)の調査によると、うつ病は、脳血管疾患、認知症に次ぐ3番目の日本人の健康寿命を脅かす疾患であった。自殺の原因となることもあり、命に関わる重大な病気である。
うつ病は老若男女問わず発症する可能性があるが、その背景には、それぞれの年代特有の原因がある。
働き盛りのうつ病では、仕事上のストレスをきっかけに発症するケースが多い。仕事をしていれば誰でも何らかのストレスを感じるものである。ストレスが溜まってきていることを早く察知して適切に対処できればうつ病の発症を防げる可能性がある。

うつ病は早めに対処


日常の生活に支障がなく、本人も困っていなければ、ストレスがあるというだけで、医療機関を受診する必要はない。ただし気分の落ち込み(抑うつ気分)何事にも興味が持てず楽しいはずのことが楽しめない(興味・喜びの喪失)のうちどちらか一つでも多少の波はあっても2週間以上、毎日続くようなら、医療機関を受診することが勧められる。


うつ病の診断基準(大うつ病診断基準DSM-IV)

以下の症状のうち、少なくとも1つある。
1.抑うつ気分
2.興味または喜びの喪失
さらに、以下の症状を併せて、合計で5つ以上が認められる。
3.食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
4.不眠あるいは睡眠過多
5.精神運動性の焦燥または制止(沈滞)
6.易疲労感または気力の減退
7.無価値感または過剰(不適切)な罪責感
8.思考力や集中力の減退または決断困難
9.死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図
上記症状がほとんど1日中、ほとんど毎日あり2週間にわたっている症状のために著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。これらの症状は一般身体疾患や物質依存(薬物またはアルコールなど)では説明できない。


うつ病になっても早まった決断をしてはいけません


うつ病と診断された場合、症状が落ち着くまでには、最短でも2~3ヶ月、ながければ1~2年間かかることもある。診断の際に当てはまったチェック項目の数やその強さによって、軽度、中等度、重度の3第階にわけられる。

治療は3つの重症度によって異なる。場合によっては、仕事から完全に離れて治療に専念することが必要である。

うつ病の患者さんの中には、自分を責めて会社を辞めるという決断をする人がいる。その後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があるので、うつ病の症状が現れている正常な精神状態ではないときに大きな決断をしないよう、周りがアドバイスすることも大切である。


復職は焦らず慎重に


症状が改善してもすぐに職場に戻ると再び症状が悪化するおそれがある。復職する前に1日の生活リズムを取り戻す訓練を行うことが大切である。通勤することを想定し、毎日同じ時刻に起床することからはじめ、パソコンに向かうなどできる範囲で職場と同じ仕事の練習をしてみる。リズムが整ってきたら短縮勤務からはじめ慣れてきたら徐々に時間を延ばして通常勤務に戻す。

うつ病は適切な治療を行えば十分に治る可能性がある。もしうつ病になってしまったとしても再び社会で元気に活躍できるように、周囲もうつ病について正しい知識を深めたいものだ。