厚生労働省の掲げる「健康日本21」によると、喫煙は「循環器疾患」「呼吸器疾患」「がん」をはじめ、多くの疾患の原因であることがわかっている。また、喫煙は歯周病の最大の危険因子でもある。
喫煙の何が良くないかというと、タバコの煙に含まれる有害物質である。毒性のある物質や発がん性物質を含め、約4000種類もの化学物質が含まれている。
例えば、ニコチンは脳の真剣に強く作用する物質で、強い依存線がある。さらに、体内で発がん性のある物質に変わる。
タールには、約60種類もの発がん性物質が含まれ、肺に染み付いて肺を黒くしたり、ごく一部は血流に乗って全身に送られ、様々な部位でがんを誘発する。
日本人男性にけるリスク要因別の関連死亡率
Ikeda N, et al.,PLoS Med. 2012 Jan;9(1):e1001160.
http://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1001160
PMID:222291576
タバコ病 COPD
COPDとは慢性閉塞性肺疾患のことである。肺の病気の一種である。空気の通り道である軌道が狭くなったり、肺の動きが悪くなったりして呼吸がしにくくなる病気である。
長い喫煙習慣によって発症し、患者数は現在500万人にのぼると推定されている。
長引く咳や痰、坂道や階段を登った際に起こる息切れなどはCOPDの代表的なサインであるう。悪化すると、歩いての移動や、着替えや入浴など些細な事でも息切れが起こるようになり、日常生活に支障をきたす。
2008年のWHO(世界保健機構)の発表によるとCOPDは世界の死因第4位と言われている。
タバコは周りの人にも被害を与える
喫煙者の吐く煙や、タバコからたちあがる副流煙をタバコを吸っていない周りの非喫煙者が吸い続けても、肺がんや心筋梗塞のリスクが高まることがわかっている。
しかも、タバコの発がん性物質の中には、喫煙者が吸う主流煙よりも副流煙のほうが濃度が高いものがある。
また、子供の肺は小学校低学年までに成長し、この間の受動喫煙が将来の肺機能に多大な影響を与える。
ベランダで喫煙したとしても、髪や服についた煙の成分が壁やカーテンなどに付着し、子供に影響をおよぼすことがある。これをサードハンドスモークという。
Kurahashi N, Int J Cancer. 2008 Feb 1;122(3):653-7.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17935128
PMID:17935128
まだ間に合う。禁煙すれば、そのときからがんは遠ざかる
禁煙すれば、タバコによる健康被害を防ぐことができる。禁煙を始めるのに遅すぎるということはない。喫煙者はタバコが及ぼす悪影響について認識を深め、セッキョクテキに禁煙に取り組むことが勧められる。
禁煙を始めた瞬間から、その健康効果は現れる。禁煙後数時間で吐く息に含まれる一酸化炭素濃度は非喫煙者と同じレベルまで下がる。喫煙24時間後には心臓発作の危険が低下、数日で味覚や嗅覚が回復し、1~2ヶ月後には咳や痰が改善される。肺癌のリスクも徐々に低下していき禁煙20年後には非喫煙者と同じくらいまで下がる。
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| http://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/cancer/basic/lung_1.html |
Sobue T ,et al.Int J Cancer. 2002 May 10;99(2):245-51.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11979440
世界は禁煙ブーム
世界保健機関(WHO)は、喫煙が健康・社会・環境および経済に及ぼす悪影響から、現在および将来の世代を守ることを目的として策定した「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約:FCTC)」を2005年2月27日に発効した。
さらに「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」が採択され、屋内施設の100%完全禁煙にすることが求められた。
日本も2004年に19番目の国として本条約を批准し締結国となっている。しかし、国会議員の愛煙家たちが、禁煙法の制定を拒んでいるため日本では禁煙が根付かない。国際協調のためにもオリンピックが開催される2020年までにはなにかしらアクションがあるだろう。
禁煙成功のコツ
①禁煙開始日を決める
明日から、明日からと禁煙するのを伸ばしていては、いつまでったっても禁煙できない。明確な禁煙の目的とともに「禁煙宣言書」を書き、目につきやすいところに貼るのが良い。
もし、今後吸ってしまいそうになったときにも、禁煙を続ける励みになる。
②禁煙後に現れる禁断症状を知る
禁煙開始後2~3日すると吸いたい気持ちがピークになる。ニコチンが切れることによってイライラもしてくる。これらは、禁煙による離脱症状で、3~5分で治まるのである。
③気を紛らわす方法をみつける
喫煙が習慣化されている人は、朝起きて一服、食後に一服などというように生活に喫煙が組み込まれている。それを断ち切るには、起きたら顔を洗う、歯を磨く、食後はガムを噛むなど、タバコとは違うところに意識を向けるようにすると良い。
④誘惑に負けない
禁煙が順調にすすんでいても、ふとした瞬間に1本だけならいいか、とつい吸ってしまうことがある。これでは、今までの禁煙が台無しである。それまでの自分の頑張りを思い出して誘惑に負けないようにしなくてはならない。
最終手段は禁煙外来も
喫煙期間が長く、ニコチン依存度が高いなど、自力で禁煙するのが難しい人もいる。何度も禁煙に失敗する場合や、より効果的にタバコをやめたい場合は禁煙外来を受信することも有効である。禁煙治療を受けるための一定要件を満たしていれば、健康保険などが適用される。

