自分の考え方の癖を知って変えていく認知行動療法


誰にでもものの見方には癖があり、そのために現実を否定的に捉えてしまうことがある。それが過度のストレスの原因となっていることも少なくない。このような偏ったものの見方に気づき、普段とは違う捉え方を探るトレーニングを「認知行動療法」という。

自分の考え方を分析し、その偏りに気づくことが目的であり、間違った考え方を修正するのではない。

偏った物の見方は、うつ病の発症につながることもある。認知行動療法は、うつ病の予防や治療としても取り入れられている。


よくある考え方の癖と切り替え


感情的きめつけ 
「嫌われたにちがいない」など、証拠もないのにネガティブな結論を引き出しやすい

こころの色眼鏡
良いこともたくさん起こっているのに、ささいなネガティブなことに注意がむく

白黒思考 
白黒つけないと気が済まない

過度の一般化 
一つうまくいかないと「何もかもダメだ」と広範囲のことを結論づけてしまう

自己非難
自分に関係のないできごとまで、自分のせいだと考えて自分を責める

拡大解釈・過小評価 
自分の失敗など都合の悪いことは大きく、反対によくできていることは小さく考える

自分で実現する予言
ネガティブな予測をして行動し、その結果失敗する。そしてまたその予測を信じ込む

出典:帯広市


認知行動療法のやりかた

厚生労働省 うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料) 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

1. まずあなたのストレスに気付いて、問題を整理してみましょう 。
問題領域リストの例
・心理・精神症状の問題
・対人関係の問題
・職業上・学業上の問題
・健康の問題
・経済的な問題
・余暇・娯楽の問題
・その他
2. その問題がどのような状況で起き、その結果どのような感情を引きおこしているのか調べてみましょう。
3. あなたの考え方(自動思考)があなたの感情や行動にどのように影響しているのか調べましょう。
4. あなたの自動思考の特徴的なくせに気付きましょう。
5. 自動思考の内容と現実とのズレに注目して、自由な視点で現実にそった柔らかいものの見方に変える練習をします。
6. 考え方が変わってきたら問題を解決する方法や人間関係を改善する方法も練習してみましょう。


瞑想もストレス解消に有効


ストレスの原因を調査すると、必ず1位になるのが対人関係である。対人関係を円滑に運ぶためには、相手を傷つけずに自分の思っていることを伝え、理解し合うことが必要です。それを実現するためには「自己主張のトレーニング(アサーション)」が効果的。

例えば、上司から無理な仕事を頼まれたとき、「今の仕事が終わるのは○○日後ですが、その後でも構いませんか?」と答える。上司も「それならしかたない」と納得しやすく、相手を怒らせずに自分の現状を伝えることができる。このようなやり取りを想定して、どう言えばよいかを事前に練習する。

また、一度失敗すると「明日も失敗するかもしれない」などと思い込み、ストレスを感じることがある。このように頭で考えた世界と現実を取り違えてしまうことがストレスの原因となるのである。そこで、気持ちを今に向け、「現実をありのままに知覚する状態(マインドフルネス)」を目指すトレーニングも有効である。ストレス解消にも効果的なヨガや瞑想は、このマインドフルネスの状態をつくり心身をリラックスさせることが目標の一つである。