睡眠時間にこだわらないほうが健康になれるってホントなの?


日本人の5人に1人が睡眠不十分といわれ、睡眠不足は生活習慣病やうつ症状につながる
持病が多い人ほど不眠になりやすい傾向がある

健康には8時間睡眠が理想はウソだった!?


睡眠に関する誤解や思い込みが、睡眠の原因になっている。よくあるのが「健康には8時間睡眠が理想」という誤解である。
脳が必要とする睡眠は高齢になればなるほど減少する傾向にある。25歳の平均が約7時間であるのに対し、45歳は6.5時間、65歳は約6時間が平均である。

Ohayon MM et,al. Sleep. 2004 Nov 1;27(7):1255-73.
http://www.ihfglobal.com/education_documents/REMSleep.pdf
PMID:15586779


実際に眠れる時間が減っている65歳以上の人が、8時間眠らないといけないからと無理に布団にしがみつくことが、「眠れん」と感じている原因になることもある。
必要な睡眠時間は、年齢だけではなく、体質や日中の活動量などによっても異なる。個人差があるのである。およそ6~8時間程度が標準的な睡眠時間の目安と言えるが、睡眠時間の長さにだけこだわりすぎないことが大切である。


睡眠の質が健康のカギ


2014年3月、厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針2014」を公表。この指針では、睡眠の大切さ、適切な睡眠の質や量、心身の健康との関係について、考え方や知識、具体的な実践事項などを睡眠12か条として紹介している。

睡眠対策(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/

健康づくりのための睡眠指針 2014
~睡眠 12 箇条~
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。


睡眠不足が生活習慣病を引き起こす


睡眠が不足すると、体に様々な変調をきたす。例えば、睡眠時間が短くなると、満腹感を起こすモルモンであるレプチンの分泌が低下して、逆に食欲を増進させるホルモンのグレリンの分泌が増える。さらに、糖をエネルギーに変換するインスリンの働きが悪くなったりするため肥満や糖尿病などの生活習慣病を発症しやすくなる

睡眠不足は心の健康にも大きな影響を与える。65歳以上で寝付きの悪い人は、3年後にうつ症状を発症する確率が非常に高くなるというデータが有る。

Yokoyama et, al. Sleep. 2010 Dec;33(12):1693-702.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21120150

さらに、アルツハイマー型認知症の患者さんの脳内で大量に見られる老廃物であるβアミロイド蛋白は、睡眠量が不足したり質が低下したりすると、その蓄積が促進されるとの報告もある。

Spira AP, et ,al. JAMA Neurol. 2013 Dec;70(12):1537-43.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3918480/PMID: 24145859


この老廃物は睡眠によって排出が進むこともわかっている。
Xie L et, al. Science. 2013 Oct 18;342(6156):373-7. 
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24136970