日本では中高年の男性の肥満が多い
日本では、男性でBMIが25を超える肥満者が増加している。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、40~60代の中高年の男性において、いずれの年代も肥満者の割合が30%を超えている。
女性の肥満者数は昔とあまり変わらないが、閉経後の女性に多くなる傾向がある。これは女性ホルモンの働きが関係すると考えられている。
内臓脂肪が増えるとウエストも増える
肥満には2つのタイプが有る。
1つは、胃や腸などの臓器の周りに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」。これは男性に多くお腹がぽっこりと出るのが特徴である。
もう1つは皮膚のすぐ下に脂肪がつく「皮下脂肪型肥満」。
女性に多く指で脂肪をつまむことができる。
これらのうち、特に注意が必要なのは、内臓脂肪型肥満である。臓器の周りに脂肪がつくことで、体に悪影響を及ぼすと考えられている。
そもそも脂肪は多くの脂肪細胞からできている。通常、脂肪細胞は動脈硬化や糖尿病を防ぐ物質を分泌するなど、良い働きをしている。余分なエネルギーを脂肪として溜め込む貯蔵庫のような働きもある。
しかし、肥満の背景はエネルギーのとりすぎであり肥満の人の脂肪細胞は、通常の2~3倍も肥大化している。内臓脂肪型肥満の人のお腹が出てくるのはこのためである。
内臓脂肪が1kg増えると、おへそ周りの腹囲は約1cm増えると言われている。
肥大化した脂肪細胞からは、体に良い働きをする物質の分泌は減り、逆にさまざまな悪い働きをする物質が分泌されるようになる。
脂肪は生活習慣病の要因
内臓脂肪型肥満を放置していると以下のような症状を招く。
①高血圧
肥満は、塩分のとりすぎに並ぶ高血圧の主要な要因である。
まず、肥満があると血管の収縮に関わる交感神経の働きが活発になり、血圧が上がる。さらに肥大化した脂肪細胞からは、血圧を上げるホルモンの分泌が多くなる。そのため、肥満があると高血圧を招きやすくなる。
②糖尿病
肥大化した脂肪細胞が分泌するホルモンの中に、インスリンの働きを悪くするものがある。インスリンは膵臓から分泌されるホルモンの一種で、食事によって摂取したブドウ糖をエネルギー源として肝臓や筋肉、脂肪組織に蓄える。このインスリンの働きが阻害されると血液中のブドウ糖が余ってしまい、血糖値が上がってしまうのです。
高血糖を放置すると、やがて糖尿病へ進行してします。糖尿病の恐ろしさは、高血圧と同じくサイレントキラーであることである。血糖値の高い状態が続くと、全身の血管が徐々に傷つきさまざまな合併症を引き起こす。なかには、失明や足の切断、腎不全など極めて重篤なケースに至ることもある。
糖尿病が招く3大合併症は「しめじ」
神経障害の「し」
目(失明)の「め」
腎臓(腎症)の「じ」
糖尿病の予防と治療(全国健康保険協会)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/senpo/new/g5/sb5010/3/2.pdf
神経障害の「し」
- 糖尿病神経障害
神経が傷つくことで、手足がしびれたり、こむら返り、インポテンツなどが起きる。痛みを感じず、けがなどに気づかなくなったりする。
目(失明)の「め」
- 糖尿病網膜症
目の奥にあり、カメラのフィルムの役割をはたす網膜の血管がもろくなり、視力が落ちたり、進行すると失明に至る。
腎臓(腎症)の「じ」
- 糖尿病腎症
腎臓の血管がもろくなり、尿が作れなくなる。からだの有害物質などをろ過するために、人工透析が必要になる。
糖尿病の予防と治療(全国健康保険協会)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/senpo/new/g5/sb5010/3/2.pdf
③脂質異常症
脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪など血液中の脂質のバランスが著しく乱れている状態のことである。
コレステロールには、全身にコレステロールを運ぶLDLコレステロールと、余分なコレステロールを回収するHDLコレステロールがある。コレステロールは、体を構成する細胞の膜や、ホルモンの材料となる生きていく上で欠かせないものであるが血液中に増えすぎると、血管壁の中にたまり動脈硬化を引き起こす。
一方、中性脂肪は主に食べ物から摂取し、体のエネルギーになる。しかし、血液中に中性脂肪が増えすぎるとLDLコレステロールを小さくして血管壁の中に入り込みやすくしたり、HDLコレステロールを減らすなどして動脈硬化を促進する。
内臓脂肪は、主にHDLコレステロールの減少、そして中性脂肪の増加という、脂質異常を引き起こす。動脈硬化の原因となるLDLコレステロールには作用しないものの、間接的に動脈硬化を進めてしまう。
そのほか、胃や腸の周りについた内臓脂肪は、血管を通じて、肝臓に脂肪細胞や悪い働きをする物質を送る。
その結果、肝臓の細胞の中にまで脂肪がたまり、脂肪肝を招くことがある。
肥満ががんの原因になるの?
肥満には生活習慣病のリスクを高める他に、がんのリスクを高めることがわかっている。
理由の一つにインスリンの過剰分泌があげられる。特に、内臓脂肪型肥満があると、インスリンの働きが低下して血糖値が上昇する。このとき、血液中に余った余分なブドウ糖を処理するためにインスリンが必要以上に分泌されてしまう。これが、がん細胞を増殖しやすくすると考えられている。
また、閉経後の女性の場合、閉経に伴って減少するはずの女性ホルモンのエストロゲンが、肥満があると過剰に増えてしまう。このエストロゲンの刺激によって、乳がんリスクが上がると考えられている。
がん予防の観点からも、肥満にはデメリットしかない。適正体重であるBMIを大幅に超えるような肥満は注意である。
BMIの求め方
BMIは25以上が「肥満」、18.5未満が「痩せ」とされる。
がん予防の観点からは、男性はBMIが21~27、女性は21~25の範囲に留まるような体重を保つことが勧められる。
体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))=BMI
BMIは25以上が「肥満」、18.5未満が「痩せ」とされる。
がん予防の観点からは、男性はBMIが21~27、女性は21~25の範囲に留まるような体重を保つことが勧められる。