高血圧と塩分の話


多いよ。日本人の食塩摂取量。


2014年の調査では日本人の食塩摂取量の平均値は10gであった。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、昨今の健康ブームもあいまって日本人の食塩摂取量は年々、減少してきている。しかし、WHO世界保健機構の推奨する1日の食塩摂取量は5g未満に設定されていることを考えると日本は依然として高い数値なのがわかる。

これは、和食の味付けの基本が「うまみ」と「塩」であることと、日本古来からの食材の保存方法である「塩蔵」が根付いていることにある。

しかし、このまま高塩分の食事を続けていると体に様々な悪影響をおよぼすのは言わずもがなである。

塩分は水分を引き寄せる


「塩分を取りすぎると高血圧になるよ」というのはよく聞く話である。
これはどういうメカニズムなのだろうか。

まず、高血圧の「血圧」、この言葉の意味は、全身に血液を送るポンプの働きをする心臓が、血液を送り出す際に血管の壁にかかる圧力のことである。
高塩分の食事は、この血圧をあげてしまう。

人間の体の中では、水分と塩分が一定の濃度になるように保たれている。余分な水分や塩分は、腎臓の働きによって体の外に排泄される。
ところが、塩分を摂取しすぎると、一時的に高くなった血液中の塩分濃度を下げるために血液の中に水分が溜め込まれる。要は塩分を薄めようとするのである。
そうすると、血液量が増えるので血管にかかる圧力が増し、血圧が上がる。


高血圧は動脈硬化の原因


高血圧は痛いなどの自覚症状がほとんどない。しかし、放置しておくと病状が進みやがて命に関わることとなる。このことから、高血圧はサイレントキラーとも呼ばれる。

高血圧の成れの果てが「動脈硬化」である。
高血圧によって血管に圧がかかりすぎると、次第に血管の壁が硬く、厚く、脆くなっていく、これが動脈硬化である。
高血圧に脂質異常症も併発していると、脂質異常症によるコレステロールが血管の壁の中に入り込んで、ニキビのようなものを形成することがある。そうすることで、血管の内宮が狭くなり、血液が流れにくくなったり、血管壁の一部が破れ、血栓ができ、血管が詰まってしまうことがある。

http://www.japa.org/


動脈硬化は全身の血管で起きうる病気である。発症する部位によって症状が異なる

脳の動脈硬化
脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」や「クモ膜下出血」を引き起こす。手足の麻痺などの後遺症や認知症を引き起こす。

心臓での動脈硬化
心臓の血流が悪くなる「狭心症」や、心臓を栄養している血管が詰まる「心筋梗塞」を引き起こす。心不全を発症し心臓が停止していしまうこともある。

腎臓での動脈硬化
慢性腎臓病のひとつである「腎硬化症」を引き起こす。腎臓は水分や塩分を調節する臓器ですが、その機能が低下してしまい、更に血圧が上がるという悪循環を招く。重症化すると腎不全となり透析を余儀なくされる。


塩分のとりすぎは胃癌のリスクも上げる


高塩分の食事は高血圧を引き起こすだけではなく、胃がん発症にも関わっているのである。
胃の内部は、粘膜細胞が粘膜を出すことで強力な酸である胃液から胃壁を守っている。
食塩の過剰摂取によってこの粘膜が壊される。そうすると、酸がダイレクトに胃壁に届くため胃炎が発症してしまう。胃炎が進んでくると胃がんのできやすくなる。

特に、塩辛、魚卵、漬物などの塩蔵品は胃の粘膜を傷つけやすいと言われている。

10年間でがんに罹った人の食塩摂取量を調査した研究において、男性では食塩摂取量が高いグループで胃がんリスクも明らかに高く、約2倍になった。1年間当りで計算すると、食塩摂取量が最も低かったグループでは1000人に1人が胃がんになったのに対し、食塩摂取量が最も高かったグループでは500人に1人ということになる。

http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/260.html
国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC Study2004)


減塩しよう


塩分の過剰摂取で病気になるということはつまり、逆に考えて減塩に取り組めば、これらの病気のリスクは減らせるということである。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2014では、高血圧の人が食塩摂取量を1日1g減らすと、収縮期血圧が平均で1mmHg下がる効果が期待できる」と報告されている。