筋肉をつけなければ、やせても長生きできない


筋肉量は、20歳ごろを過ぎると少しずつ減っていき、70歳代では20歳代の半分ほどになる。加齢や生活習慣などの影響によって、筋肉が急激に減少する状態をサルコペニアという。


サルコペニアは高齢者に多く見られるが、最近の日本では、デスクワークや自動車に頼る生活習慣などで、こどもから中高年の中にもサルコペニア予備軍がいる。サルコペニアになると、転倒や骨折をしやすくなり、将来寝たきりになるリスクが高まる。

また、筋肉は血糖値の調節も行っている。糖の多くは一時的に筋肉に溜め込まれる。筋肉が減って糖の保管場所が減少すると血糖値の変動が大きくなり糖尿病のリスクが高くなる。

75~84歳の高齢者の10年後の生存率を調べた研究で、筋肉量が多いほど長生きできることがわかってきた。これは筋肉量が少ないと感染症にかかりやすくなったり、動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクが上がることを意味している。また、近年、筋肉から血管を保護する作用のあるホルモンや、がんの増殖を防ぐホルモンが分泌されていることも明らかになってきた。


筋肉トレは筋肉を太くするだけではない


筋肉を鍛えるというというと、筋肉を太く大きくするというイメージを持つ人が多い。しかし、筋肉トレーニングの目的は、これだけではない。筋肉を動かす神経の働きを改善し、動きを良くするのも、重要な目的である。

筋骨隆々にはなりたくないという女性は多いと思われるが、筋肉トレーニングを始めると、まず神経の働きが改善される。女性らしいしなやかな体で、筋力を高めることが可能である。筋力の低下は、特に女性に深刻であり、積極的に筋肉トレーニングを行おう。

高齢者の方は、もう筋肉なんて増えないと諦めていないだろうか。高齢になっても筋肉は増やすことができる。要介護の高齢者を対象に行なった調査では、1時間の運動を週3回続けると、1年間で筋肉が5.5%増加したという報告かある。

Yamada M,et al. Age Ageing. 2011 Sep;40(5):637-41.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21729926


血圧が高い人の筋トレは呼吸を止めないようにする


高血圧のある人や過去に心筋梗塞や脳卒中を起こしたことがある人は、強すぎる筋肉トレーニングを行ってはいけない。筋肉トレーニングで力を入れすぎると血圧が急上昇して、高血圧のある人は突然死の危険性がでてくる。しかし、強度を調整すれば高血圧の人でも筋肉を鍛えられる。また、健康な人も呼吸を止めて力を入れると血圧が上がりやすいので、呼吸を止めないよう意識をしたほうが良いだろう。