運動の最大の効果として、減量(ダイエット)があげられる。
運動による減量効果を、+10プラステンを実践した場合で検証してみる。
1日10分歩く時間を増やすと、標準体型の人で30kcalほど消費エネルギーが増加する。それを365日間継続すると、およそ10000kcalになる。体重1kgは7000kcalに相当するので、+10を1年間続けると1.5kgほど減量できる。毎日運動して1.5kg減というのは物足りないかもしれない。もちろん、運動時間を30分に増やせば減量効果も3倍になるわけだが、30分間の運動を毎日続けられる人は、極めて少ないだろう。
十分な減量効果を得るには食生活の改善と組み合わせることが必須である。
運動は丈夫な血管をつくりだす
運動に得られる効果は減量だけではない。
運動すると、血管の内皮を覆っている内皮細胞からNO(一酸化窒素)という物質が分泌される。NOには血管を拡張させたり、しなやかに保つ作用がある。血管が拡がることで血圧も下がる。
運動によって心拍数が増えると、心臓からANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンが分泌される。ANPには利尿作用がある。体の余分な水分や塩分が排泄されやすくなる。これも血圧の低下につながる。
さらに運動中は血液中のブドウ糖が消費されるので、血糖値が下がる。運動を習慣にすれば、血糖値を下げるインスリンが聞きやすい体質になる。長期的に見ると血糖値を低めにコントロールすることも可能である。
逆に運動をしない非活動的な人は、活動的な人に比べて糖尿病のリスクが約2倍になることがわかっている。
Hu FB, et al. Arch Intern Med. 2001 Jun 25;161(12):1542-8.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11427103
運動には、HDLコレステロールを増やす効果もある。HDLコレステロールは、動脈硬化の進行を抑える働きがある。HDLコレステロールが増えると動脈硬化の原因となる中性脂肪が減る。つまり、運動が動脈硬化予防につながるといえる。
運動で認知症、骨粗鬆症予防
認知症は、生活習慣の改善で予防ができる可能性があることがわかってきた。特に運動の継続による効果が期待されている。6ヶ月間、週に二回、90分間の運動を続けた人と運動はせず、認知症の発症予防などに関する講座を受けた人の記憶能力の変化を比較した研究がある。それによると、運動を続けた人は、記憶能力が大きく上昇していた。
認知症予防マニュアル (国立長寿医療研究センター)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-sankou7-1.pdf
腰痛などの慢性的な痛みを和らげる働きが運動にはある。
脳の血流が良くなったり、ドパミンという物質が分泌されて痛みを抑える脳の仕組みが活性化するためである。ドパミンは楽しいと感じる運動をすると多く分泌される。また、運動をして骨に適度に負担がかかると、骨密度が高くなり、骨粗鬆症の予防にもつながる。
運動でがん予防
国立がん研究センターの研究では、身体活動量の多い人は、少ない人よりも発がんリスクが低いという結果が出ている。特に、男性では結腸がん、肝がん、膵がん、女性では乳がん、子宮体がん、胃がんのリスクが低下していた。
身体活動量とがん罹患との関連について 多目的コホート研究(JPHC研究)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/322.html
肥満は、癌のリスクを高めることがわかっている。身体活動量を増やして肥満を改善することも、がん予防につながる。また、糖尿病に特有のインスリンが働きにくい状態は、がんのリスクを高めると言われている。運動によってインスリンの効きやすい体質にすることが、がんに予防的に働くのではないかとも考えれらている。
日常的に体内で発生している活性酸素という物質は、細胞を酸化させて発がん性を促進する。適度な運動は活性酸素の発生を抑えることができる。ただし、角野な運動は逆に活性酸素を増やしてしまうので注意が必要である。
さらに運動によって免疫機能が調整されることもがん予防につながる。最近やウイルス、がん細胞などの異常な細胞を処理するマクロファージやNK細胞といった免疫細胞の働きが適切にコントロールされるようになる。